先日の新中国語ボカロ(乐正绫)発表の少し前から中国ボカロ界隈が騒がしくなっていたのですが、どうも中国ボカロを展開している企業「上海禾念(Vocanese)」に関する関係者からの告発が問題になっているようです。
告発を断行したのは洛天依のPV制作でお馴染みの発光P(Flexin)さん。
以前からVocaneseの活動にも協力していたことがあったようなのですが、約束したはずの賃金が支払われないことに耐えかねて上海禾念(Vocanese)の内部事情を語ることにしたようです。
▼発光P(Flexin)さんの洛天依PV
▼告発文の原文はこちら
整合VC五人组受害真相-任力禾念扒皮全纪录
VocaloidChina五人組が受けた被害の真相-化けの皮を剥ぐ全ての記録
まぁ、見た感じでは中国ボカロ展開の経緯を知っていると誰もが不審に感じるであろう
「なぜ洛天依の日本語ライブラリは発売されなかったのか?」
「なぜVocaloid Chinaが活動を停止し、MercuryやVocaneseが登場したのか?」
「なぜ既存の中国ボカロキャラではなく、新たに言和がボカロとして登場したのか?」
「なぜ洛天依や言和の公式サイトはろくに更新されず放置されていたのか?」
「なぜVocaneseが独立した途端に活動が活発になったのか?」
といった、中国ボカロファンの疑問点を埋めていくような流れで説明されています。
▼今までの中国ボカロに関する(表向きの)経緯については過去記事参照
Vocaloid China活動終了の経緯と、今後の中国ボカロ展開について 【洛天依・言和】
原文にはここに書いていいのかどうか判断に困るような際どいことが書かれていたり、
そもそも長くて訳しきれないのでここでは3つに分けた要点だけ紹介しておきます。
※いずれも根拠が明確な話ではないことを留意しておいてください
※すでに離れている人もいるので名前などはやんわり伏せています
■その1
活動資金は洛天依の広報活動に使われずに浪費された
日本サイドが中国でボーカロイドを展開するにあたって、中国市場をよく知った上海禾念を選び、音源開発費や広報費として多額の活動資金を提供した。しかしその資金を本来の目的ではないことに浪費し、大半の活動資金を失った。
そして洛天依の公式アルバムCD制作時には、国内の楽曲提供者には僅か500元~2000元(約8500円~34000円)の報酬のみで、その上楽曲の版権まで奪った。
・・・というようなことが書かれています。
日本の楽曲提供者には数十倍の報酬が支払われているらしく、その辺りの待遇格差も不満の一つのようですね。
日本人作曲の楽曲というのはMysteriousのことですよね。この曲ってそういえば結局公式CDに収録されなくて変だとは思っていたんですが、版権まで買い取る資金が無かったということなのだろうか。
個人的には4枚の洛天依公式アルバムのうち、2枚がSeeUのカバーというのは流石に手を抜きすぎじゃないのかとは感じていましたが・・・。
また、資金が正当な活動費に使わずに浪費される状況(洛天依の広報活動が進まない状況)を見かねて、日本サイドは一旦中国市場から手を引き始めてしまい、洛天依の日本語ライブラリ計画が消滅したのだとか。
▼洛天依の日本語ライブラリデモ
洛天依の日本語ライブラリはほぼ完成していて後は発売を待つだけと言われていたのですが、結局その後突然音沙汰が無くなってしまって違和感のある状態だったんですよね。ふーむ・・・。
■その2
上海禾念は未完成のmokeを超低価格で買い上げ、言和に改変して発売した
・・・・・・マジで?
これが本当だとしたら驚愕の話なのですが、このmokeというのは「徵羽摩柯」のことですよね。
なんと摩柯は途中まで歌声ライブラリの開発が行われていたらしいのですが、上記の理由で日本サイドでの開発が中断されたところを上海禾念が格安で買い取り、新たなボーカロイド「言和」として発売したのだとか。
この辺りの経緯はVocaneseの誕生とMercuryの登場に関係してくるのですが、未完成のmoke音源を買い上げる時点での上海禾念は日本サイドが権利を有するVocaloid Chinaとして活動していたため、moke音源を利用しての独自事業を進めるため新たにVocaneseを立ち上げたのだとか。そして初音ミクなどの名前を借りて中国企業に売り込みを行い、Mercuryにこの音源を高値で譲渡することに。
この時点での「徵羽摩柯」のキャラクター版権はVocaloid Chinaにあるため、Mercuryに一般公募を企画させて決定した新たなキャラクター「言和」としてこの音源を発売することになったらしい。
▼関連リンク
Mercury主催の新ボカロ音源公募企画
その上、moke音源を手に入れた経緯から味をしめた上海禾念が再度「言和」の広報活動の手を抜いた結果、「言和」の売れ行きは芳しくなかったためMercuryも手を引き、「言和」の版権を低価格で上海禾念が手に入れることになったのだとか。
細かいキャラクター設定や広報アニメまで(恐らく日本サイド主導で)作られていた中国ボカロキャラ達。
このキャラクターが順次ボカロ音源化していくのだろう多くの人が考えていたと思いますが、当時これらのキャラクターが突然消えて(アニメなども非公開)しまい、新しいキャラクターを公募するというのは違和感のある流れだったことは間違い無かったかと思います。
また、未完成だったmoke音源はそれまでとは異なる制作者によって開発が行われたため、言和の高音部と中低音部の発声には違いがあるとのことです。(洛天依と比べて言和はクセがあるという話は聞いたことがありますが・・・)
▼中国ボカロアニメ 「徵羽摩柯」編の第3話
■その3
上海禾念には現在サウンドライブラリを独自開発出来る技術者はいない
恐らく「洛天依」のライブラリ制作者は日本サイドと直接契約していた(もともと上海禾念にいなかった)のだと思いますが、上海禾念に所属していたと思われる最終的な「言和」ライブラリ制作者も追い出されてしまい、現在上海禾念にはまともにライブラリ開発を行える技術者はいないだろうとのことです。
「上海禾念は新ライブラリを作る作るとは言ってるけど、独自にライブラリ開発出来る人物などいないだろ」ということで、まぁこれはどちらかというと挑発に近いものかもしれません。
■その後の流れ
まぁ、そんなわけでこの告発文はかなり衝撃的な内容で、中国ボカロ界隈は大騒ぎになってしまっています。
上海禾念の活動に協力していた他のボカロPも、他のことはともかく楽曲報酬については間違いない(国内のボカロ発展のために引き受けていた)と複数人が証言しているので、報酬についてはまぁ間違いないようですね。
その他の件についても積極的に反論するような他の関係者もおらず、もともと不審点が多かった中国ボカロ活動の経緯ともある程度合致する内容であったため、上海禾念に対して失望と非難の声が徐々に増えていっていたようです。
▼流石に騒ぎが大きくなってきたため、上海禾念側もこの件に関して声明を表明することに
到广大中国VOCALOID粉丝们的一封信(多くの中国ボーカロイドファンの皆様へのお知らせ)
まぁこれも長いので大まかにですが、「上海禾念は日本のヤマハやビープラッツと正式なパートナー関係にある企業であり、ビープラッツの管理によって運営されてきたVocaloid China Projectの活動内容に私益のために資金流用するような不正な点などはありません。活動初期の資金には限りがありましたが、楽曲提供者の方々には大変な感謝をしています。2014年1月31日にVocaloid Chinaの活動は停止しましたが、ヤマハとの協力関係は継続しており、今後も中国におけるボーカロイドの発展に尽力していきます。」
といったような内容となっています.
どうもこの声明も根拠が薄く曖昧だったため、どちらも根拠がないなら発光Pを支持するという人が多く騒ぎが収まらなかったところ、先日の新ボカロ「乐正绫」と今後の活動の詳細内容が発表されることとなったわけです。
▼関連リンク
中国の新ボーカロイドが発表されました! 3人目の中国語ボカロは「乐正绫(楽正綾)」
ヤマハとの関係や資金の利用などを明確にするために、通常では公表しないような予算やスケジュールの話が発表されたのはそのためなんじゃないかと思いますが、とりあえずファンが待ち望む「乐正绫」をちゃんと開発するという発表をしたことで、一応騒ぎは少し収まったように思います。
上海禾念に不信感は残るけど洛天依と言和は大好きだし、「乐正绫」をちゃんと仕上げてくるならまぁ今までがどうであっても気にしないといった感じですね。
いやはや、こんな告発が突然出てきて私も衝撃を受けましたが、やっぱり私も「乐正绫」の登場が楽しみだったりします。
ファンの気持ちは裏切らないでいて欲しいものですねぇ。
(おまけ)
早速「徵羽摩柯」と「言和」の関係をネタにしたオリジナル曲が登場しました(笑
▼【言和&徵羽 摩柯 原创】 Anastasia【MIMI x 乌龟】
中国のボカロファンは逞しいから大丈夫そうだ!
うへ。どうりでkkryuさんが微博で「なんで公式サイトに私の名前がないんだろう、一度疑問に思って言ったのに・・・・・・」なんてこと言ってたわけだ。
流石中国!(笑)
不祥事だらけだけは天才と言っても良いですな(笑)
会社はビープラッツ系列ですが、初音ミクが絡んでくるとなると、もうこれはクリプトンフューチャーメディアに任せるしか無くなってくるんじゃないでしょうか。
但是这个在日本作曲者八王子身上不起效,当时mysterious那首给了70万日元
八王子Pが70万円もらった事は書かないのですか?
内部告発と言うより暴露ですか。今後,ウィキリークスみたいに次から次へと暴露されると揉めるんでしょうか?
ビープラッツのページを見てきた。
>上海禾念信息科技有限公司は、独立した企業として2013年7月1日より活動を開始しており、その企業運営ならびに活動内容において、ビープラッツ株式会社は関知するところではなく、いかなる資本関係もございません。
わざわざ「関知するところではなく」とか書くかなあ。上海禾念が何か不祥事を起こしたから切った、とも読めるんだけど。言和っていつ発売だったっけ?2013年7月1日より前?後?
言和発売日=2013年7月11日
あっはっは
こりゃ黒より黒いグレーだわw