北京師範大学の学生制作ストップモーションアニメ 「雨花错(RED)」
ブログを書き始めた当初はこういう微妙なテーマの作品は触れないようにしておこうかと思っていましたが、最近は色々と考えるのが面倒臭いので書いておきます。
▼「雨花错」
とりあえず主要な登場人物3人
▼主人公の男
中国軍の兵士
名前で呼ばれていないので名前は不明
秋儿のことが好き
▼秋儿(チャー)
母と妹と共に暮らす女の子
父親は軍人で、長い間家族のもとには帰っておらず音信不通となっているようです
主人公の男からプレゼントされた赤いマフラーをいつも巻いている
▼小田
日本軍の兵士
父親を戦争で失い、日本に残した母と妹を想う礼儀正しい青年兵士
話の構成が組み替えられてていて最初意味が分からなかったのですが、3回ほど見てようやく流れが理解できました。
なぜ秋儿は最初からこんな悲しそうな顔をしているのかと思ったら、小田と秋儿が会話しているこのシーンは日本軍が攻め入った後の部分を冒頭に持ってきているんですね。
ちなみにタイトルの「雨花错」の意味なのですが、「错」は「間違い」という意味なのですが、「雨花」は雨のように花が散り落ちるといった意味合いなのかな?
▼ポスター画像
来自:http://stopmotionanimationcn.blogspot.jp/
ポスターには「1つのブロックが敵を討ち、もう1つのブロックが自分自身を討つ」といったことが書かれています。
秋儿を殺したのは小田だと勘違いしたまま感情に任せて手元のブロックで小田を殴り殺し、
生き延びるために日本兵に変装し自分自身をブロックで打ちつける男でしたが、
正体がばれるのを恐れるあまり愛する秋儿の家族に銃口を向け、そして引き金を引いてしまうことに。
男は引き金を引いてしまったことでの罪悪感を感じているのだと思いますが、もしかすると小銃に弾を込めていなかった小田についても何か間違いに気付いたのかもしれません。
戦争という極限状態のなかではどんな人間でも冷静さを失い、とりかえしのつかない重大な過ちを犯してしまうということを伝えているように感じます。
あと男の告白を秋儿が拒んだ理由がちょっとはっきり分からないのですが、男から贈られた赤いマフラーをいつも身に着けているのを見ると、男に対して好意は持ち続けているんじゃないかと思います。
もしかすると家族を省みない軍人の父の影響で、男が兵士であることに不満があるのかも。
最初ちょっとドキドキしながら見ていましたが、まぁ純粋な反戦がテーマの作品かと思います。
(おまけ)
ところで秋儿の瞳が妙に綺麗で滑らかに動くなぁと思ったのですが、
これって目の部分だけ後から合成しているみたいですね。
良く見るとちょっとずれる。
戦争映画は世界的に「大規模な戦略や大作戦の全体像を描く」というものからミクロな兵士個人にフォーカスを当てるものが多く作られる傾向が続いていますし、中国の抗日ドラマも「敵も人なり」という作品がけっこう作られるようになっていますから、そういう流れに乗ってる作品なんでしょうね。ま、このブログの読者ならこの程度で吹き上がったりはしないでしょう。
日本ではアホみたいな荒唐無稽な部分しかフィーチャーされない抗日ドラマですけど、真面目に作ってる作品は大迫力の戦闘シーンがあったり、日本軍も真面目にカッコいい悪役をやっていたりしてそれなりに面白いんですけどね。
抗日ドラマもたまに見かけますが、なかなか面白そうに作ってありますよね。
自分が見たのは(悪人といえば悪人の)日本軍人が一騎打ちには正々堂々と日本刀一本で応じるといった感じで、意外とかっこよく描かれているんだなぁと感心してしまいました。