中国のネット界で高い人気がある歌「牵丝戏(人形劇)」。
私もこの歌は本当に大好きで、なんとか歌詞を理解したいので日本語訳などを書いてみます。
▼オリジナルは5singです
5sing 牵丝戏 feat. Aki阿杰
曲名:牵丝戏
作曲:银临
编/混:灰原穷
填词:Vagary
演唱:银临、Aki阿杰
海报:苏澈白
嘲笑谁恃美扬威 没了心如何相配
盘铃声清脆 帷幕间灯火幽微
我和你 最天生一对
美しい拠りどころを嘲笑するのは誰だろう 心を失うことがどのように相応しいのだろう
澄んだ鈴の音が響き 幕の中では微かな灯火
私とあなたは この世で最も似合っている
没了你才算原罪 没了心才好相配
你褴褛我彩绘 并肩行过山与水
你憔悴 我替你明媚
あなたを失うことこそが原罪 心を失うことでようやく釣り合う
あなたの衣服がくすんでも 私は鮮やかに彩色され 連れ添いながら山川を越えてゆく
あなたが憔悴しようとも あなたの代わりに美しいままで
是你吻开笔墨 染我眼角珠泪
演离合相遇悲喜为谁
あなたが口づけた筆墨で 私の目じりに涙が染まる
出会いと別れの悲喜を演じるのは誰のためか
他们迂回误会 我却只由你支配
问世间哪有更完美
彼らは遠回りな誤解をしているけれど 私はただあなたに支配されているだけ
この世にこれほど完全なものなどありはしない
兰花指捻红尘似水
三尺红台 万事入歌吹
唱别久悲不成悲 十分红处竟成灰
愿谁记得谁 最好的年岁
蘭を指で摘めば 俗世は水の如し
三尺の紅舞台 万事開幕の歌が響く
別れの歌であろうとも悲しみは残らない 鮮やかな紅もいずれ灰となるが
誰かの記憶に残るのであれば それこそが最良の歳月
你一牵我舞如飞 你一引我懂进退
苦乐都跟随 举手投足不违背
将谦卑 温柔成绝对
あなたの糸で私は飛ぶが如く舞い あなたが引けば進むべき道が分かる
苦楽は常に共にあり 一挙手一投足も背くことは無い
謙虚さと その温もりこそが確かなものとなる
你错我不肯对 你懵懂我蒙昧
心火怎甘心扬汤止沸
あなたが間違っているとは私は認めない あなたが愚かなら、私こそ愚かなのだ
その苦しみをどうすれば慰められるのだろう
你枯我不曾萎 你倦我也不敢累
用什么暖你一千岁
あなたが枯れようとも私は衰えることなく あなたがくたびれようとも私は疲れることはない
どうすればあなたに千年の温もりを与えられるのだろう
风雪依稀秋白发尾
灯火葳蕤 揉皱你眼眉
假如你舍一滴泪 假如老去我能陪
烟波里成灰 也去得完美
吹雪が霞むとき あなたの白髪が瞳に映り
灯火は燃え上がり あなたの眉を撫でる
もしもあなたが涙を捨て去るのなら もしも最後の時まで傍にいられるなら
煙波のなかで灰になることで 完全なものとなるでしょう
【終】
私には大変難しい歌詞なので、だいぶ頑張ってはみましたがやはり訳は大体な感じです。
最初この歌は聴いたときは、自分を操り人形に喩えて束縛される愛情表現を歌った歌なのかと思ったのですが、よくよくこの歌のことを調べていると割とガチで人形使いに対する人形からの純愛の歌のようです。
凄い。
▼この歌にはバックストーリーが存在します
余少能视鬼,尝于雪夜野寺逢一提傀儡翁,
鹤发褴褛,唯持一木偶制作极精,
宛如娇女,绘珠泪盈睫,惹人见怜。
私には多少の霊能力があり、ある雪降る夜の荒れ寺で一体の人形を抱える翁に出会った。
白髪でぼろ着姿だが、木偶作りには長けていた。
木偶はさながら娘のようであり、瞳とまつ毛に描かれた涙の粒が、人の目を魅了する。
时云彤雪狂,二人比肩向火,翁自述曰:
少时好观牵丝戏,耽于盘铃傀儡之技,
既年长,其志愈坚,遂以此为业,以物象人自得其乐。
奈何漂泊终生,居无所行无侣,所伴唯一傀儡木偶。
吹雪が荒れる時、二人肩を並べて火に向かっていると、翁が語り始めた
「子供のころは人形劇を見るのが好きで、盤鈴傀儡を習得することにふけっていた。
年をとってからも、その志は変わらず、遂には職業とするまでになった。
しかし終生さすらいの身で、住む場所も伴侶もなく、一緒にいるのは唯一つの木偶人形のみ。」
翁且言且泣,余温言释之,恳其奏盘铃乐,作牵丝傀儡戏,
演剧于三尺红绵之上,度曲咿嘤,
木偶顾盼神飞,虽妆绘悲容而婉媚绝伦。
翁が泣きながら話す言葉を理解し、慰めるように盤鈴を奏で、人形劇を始める。
翁は三尺の紅錦の上で演劇を始め、かすかな歌声で歌う。
辺りを見渡しながら舞うその木偶は、悲しみの様相ではあるが柔らかで美しい。
曲终,翁抱持木偶,稍作欢容,俄顷恨怒,
曰:平生落魄,皆傀儡误之,天寒,冬衣难置,一贫至此,
不如焚,遂忿然投偶入火。
演劇が終わり、翁は木偶を抱える。微かに満足した表情が見えたが、ほどなく怒り出した。
落ちぶれた生涯、誰も傀儡などに興味は無く、凍える季節に冬着にも事欠くほど貧しい。
こんなもの薪にも及ばぬと、遂には怒りに任せて木偶を火に投げ入れる。
吾止而未及,跌足叹惋。
忽见火中木偶婉转而起,肃拜揖别,
姿若生人,
绘面泪痕宛然,一笑迸散,没于篝焰。
私は止めようとしたが及ばず、ただ見ているしかなかった。
すると火中の木偶は突然自ら立ち上がり、翁に向かい別れを告げるように跪いた。
まるで生きているかのように。
そして、にこりと笑みを浮かべながら炎の中へと消えていったのだ。
火至天明方熄。
翁顿悟,掩面嚎啕,曰:暖矣,孤矣。
火は天に至り明け方まで燃え続けた。
翁は手で顔を覆い、泣き叫んだ「暖かくなったが、これでもう独りだ」
生涯を人形劇に捧げた翁のお話。
このお話のなかで火に投げ入れられた木偶人形の想いが歌詞の中で歌われているわけなんですね。
壮絶です。
またこのバックストーリーを基にした同人PVなども作られているのですが、これがまた素敵なので紹介しておきます。
※PVのオリジナルはビリビリの言和バージョン
このPVは言和がとても美しく描かれていれ素晴らしいです
火に投げ入れられる木偶人形のシーン
ここで歌われている「烟波里成灰 也去得完美(灰になることで完全となる)」というのも、人形使いの行いを全て肯定しようとする人形の想いからくる歌詞ということなんですかね。
何度でも聴いてしまう大好きな歌です。
上手く訳せていないのがもどかしい・・・。
(おまけ)
この「牵丝戏」を作曲している银临さんは、以前にも書いた「锦鲤抄」の作曲者の方です。
▼過去関連記事
银临さんの曲は日本でももっと知られていい。
PVキャラの性別がバックストーリーの設定とは逆ですね。
これもいいですが、元のバージョンも見たいですね。
中国でもBL化や百合化が人気のようですね
以前の锦鲤抄の同人もBLモノでしたし・・・
バックストーリーが、映画『変面』を連想させます。変面という、仮面を替える演劇の映画ですが。
この映画では、生涯を芸だけで生きた老人が技だけでも残そうと。後継を育てようとする(でも、人買いから買った子で。伝えるのが男子のみの芸なのに、女の子だった)話です
人形劇とアニメ
実は日本アニメでの、サンライズって(英国人形劇サンダーバードの配給をしていた)東北新社と関わりがあり。(他にもウルトラマンの円谷プロも、初代社長がサンダーバードの撮影に立ち会っていますが)
アニメの戦闘機とかを3機なのもサンダーバードとか英国人形劇の影響らしい
サンダーバードの原作者、故ジェリー・アンダーソンはアニメの原作もしてたんです。ファイアーストームといいます(YouTubeで、ファイアーストームを人形劇にする広告が、監督が同じ顔!で、ハゲ頭!息子らしい)
はじめまして。
私もこの曲が大好きで、日本語訳ないかな~と探していたらここに辿り着きました。
切ない歌詞ですごく胸に響きました。
曲の感じから、すっかり男女のラブストーリーかと思っていたら違ったんですね。
(デュエットみたいに聞こえるので)
中国でも人気なんですか~!
うーん、なんか日本の音楽界よりクオリティ高い感じですね♪