中国ボーカロイド・洛天依のオリジナル曲「甄姫」 歌詞と日本語訳

ae28.jpg
中国のボーカロイド・洛天依(ルオ・ティエンイ)の原创曲「甄姬(zhēn jī/ジェンジー)」。
曹植の漢詩「洛神賦」を題材にした歌のようです。



私には難しすぎる歌詞のなので訳は八割方想像です。
オリジナルはビリビリ動画
【洛天依】 甄姬 【潜移默化】【咏吟轩】


作詞:铅笔
作曲:潜移默化
PV:冰镇甜豆浆
絵:裆下搞基
翩若惊鸿 婉若游龙
眸似虹
軽やかに舞う姿は不意に飛びたつヒシクイのよう 穏やかな美しさは優雅に泳ぐ龍のよう
その瞳は虹のようである

荣曜秋菊 华茂胜春松
眼波浓
秋菊のように繁栄し 春松よりも華やかに茂り
その眼差しは深淵のよう

世人曰风华绝代耀五洲
绮罗生花容月儿羞
世人曰く、その美しさはまるで比類なく輝く世界のように
花の容姿と月の恥じらいを持って生まれくる

毕生却辗转无数宫阙中
身锁琉璃深宫
しかし、その一生は宮城を無数に移り渡り
瑠璃色の宮殿の奥で鎖に身を繋がれるものであった

翩翩舞起身段妙
彩袖抚颦笑
軽やかに舞うしぐさは艶やかであり
色鮮やかな袖が眉をくすぐる

气吐如兰柔声叫
换君王一笑
吐息はまるで柔らかな蘭の声のように
君主を微笑ませる

轻拭铜镜忆岁月
红妆遮眼角
そっと銅鏡を拭きながら追憶にふけり
紅の化粧で目頭を覆い隠す

玉钗银器当啷落
鬓角儿屡屡银丝悄萦绕
翡翠のかんざしと銀の飾りがカラリと落ち
髪の束が幾重にも銀糸にまとわりつく

凤冠花翎 金线刺绣 着黄袍
碧殿内外 万人齐侍候 嫔妃朝
羽飾りの鳳冠 金糸の刺繍 黄色のローブを纏い
碧い宮殿の内外にて 幾万人の従者を従えし 嬪妃朝

却无处诉说这份情和愁
笔墨早已干曲调淡
しかしこの愛情と悲しみを分かち合う拠り所はない
筆と墨はすでに乾き、曲調は淡い

更难寻知己 饮酒伴星汉
吟诗消瘦凌乱
親しき人と出会う事は叶わず 天の川を眺めては酒に酔う
詩を吟ずる声は乱れ、身はやつれていく

雕栏稀木庭院中
邀月醉黄酒
華やかに彩られた庭で
黄酒の酔いへと月を誘う

缦纱锦被无人用
冷霜结床头
飾り気のない絹織は誰にも用いられることなく
寝床で冷たい霜に結ばれる

寒厅曲罢无观众
遥遥闻声回
寒々しい広間に流れる曲は観衆もなく終わり
遥か彼方の歓声に答える

拭去两颊胭脂红
皱纹儿早已悄悄爬上头
両頬の頬紅を拭い去れば
すでにシワが悄然と這う

听信谗言君王怒
泪洒饮鸩酒
虚言を真に受けた君主は怒り狂い
涙をこぼし鴆酒を飲む

饮罢昂首摔杯去
殿前碎有声
酒を飲み下し、頭をもちあげ杯を落とせば
宮殿の前ではざわめきが起きる

妾身愿化河中女
天地宽悠悠
この身は川の中で生きる女へと変わり
天地を悠々と見渡していくことを願う

只为东去流水中
取一瓢换取来世的自由
ただひたすらに東へと流れる水の中
汲み取ったひと掬いと引き換えに来世の自由を得る

【終】
とても好きな曲なのですが、やはり漢詩が元になっているため私には歌詞が非常に難しいです・・・。
結局あまり理解出来ていないのですが、もう1年も経っているので諦めてとりあえず書いてみることにしました。
この歌は曹植の漢詩「洛神賦」を題材にしており、歌詞もいくつか「洛神賦」からの引用があるようですね。
「洛神賦」についてはこちらに訳が紹介されています。
玄齋詩歌日誌 (一)曹操の息子の曹植の漢詩である、『洛神賦』の導入部分です(原文・書き下し文・語注です)
タイトルの「甄姬」は文昭皇后の甄氏のことで、「洛神賦」で歌われる洛神のモデルではないかと考えられている人物のようです。
wikipedia 文昭皇后甄氏
歌詞の中にある「鴆酒」というのは鳥の羽が漬けられた毒酒のことで、
何らかの理由で君主の怒りに触れ、死を命じられて自ら毒酒を飲み命を断つという流れなのだと思います。
最後の歌詞「取一瓢换取来世的自由」というのがまた難しいのですが、“取一瓢”というのはたぶん中国の古典小説「紅楼梦」に登場する次の言葉から来ているんじゃないかなと思います。
「任凭弱水三千,我只取一瓢饮」
たとえ果てしなく水が溢れていようとも、私はただひと掬いを取りそれを飲む

弱水とは「情愛の海」を表し、三千は中国では無数を表すようなので、意味としては「たとえ世間に無数の情愛が溢れていても、私はただあなただけを選びます」という言葉のようです。
つまりこの「取一瓢换取来世的自由」は、甄氏が絶世の美女であったために数多くの男性との情愛に翻弄され、それゆえに悲運な人生となってしまったことからくる歌詞なのかなぁと思います。
甄氏の生き様についてはこちらのサイトの解説が分かりやすかったです
My三国志 > 百科事典 > 甄氏(しんし)

スポンサーリンク

5 件のコメント

  • はじめましてこんばんは
    最近洛天依の曲を聴いており、このサイトをみつけました
    洛天依の「红心赌场」(ハートカジノ)という曲なんですが、いい曲だと思ったのですが、なんとなくのイメージはつかめているのですが詳しい歌詞の意味がわかりません
    もしよろしければ、気が向いたときにでも聴いてみて、気が進むようでしたら翻訳などしていただけるととてもうれしいです
    ぶしつけなコメントでしたがお許しください

  • …とコメントしてしまった後で、取り上げられているページを見つけました
    まことに申し訳ありませんでした

  • 「红心赌场」もそのうち書こうかと思っていたのですが、なかなか自分の能力と時間が追いついていない感じです・・・。
    中国ボカロの歌詞の意味は少しずつですが書いていきます。

  • 对我来说这歌词太难了
    所以我用我的Imagination写日文
    もっとちゃんと理解出来るように頑張っていきたいと思います

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.