ちょっといつもとは変わりダネで、中国のアニメキャラデザイン教本「海之传说妈祖 人物配件」という書籍を中国アマゾンで購入してみました。
この教本は台湾中华卡通製作の台湾アニメ「海之传说妈祖」の製作過程を踏まえた実践的なアニメ製作の工程を紹介・解説する、アニメ製作者向けの教本となっているようです。脚本編や背景編など何冊かシリーズ化されているのですが、私が購入したのはその中の一冊・キャラクターデザイン編。
なぜこの教本が欲しかったのかというと、実はこの「海之传说妈祖」のキャラクターデザイナー・杨数鹏さんは、私の好きな中国アニメ「美猴王」や「水漫金山」のキャラクターデザイナーでもあるのです。
美猴王のキャラクター
水漫金山のキャラクター
海之传说妈祖のキャラクター
いやぁ、前々から「美猴王」と「水漫金山」のキャラクターは共通点が多いとは思っていましたが、キャラデザの人が同じだったんですねぇ。納得です。
あと、これはこの本を読んで知ったのですが、杨数鹏さんは台湾アニメ「梁山伯与祝英台」の原画担当としても活躍していたようです。うーん、杨数鹏さんは代表的な中華古典アニメの主要スタッフとしてことごとく関わっている凄い人のようです。
梁山伯与祝英台
杨数鹏さんのプロフィールはこの本のなかで写真付きで紹介されていたのですが、想像していたよりもかなり若い爽やかなイケメンお兄さんでした。ちなみにイケメンお兄さんは中国語で帅哥(shuài gē/シュアイガ)と呼ぶようです。
帅哥杨数鹏
教本としての内容は、デザイン画に必要なもの(このキャラはこんな口の形で喋るのだとか、目をつぶるとどんな顔になるのか、喜怒哀楽の表情など、アニメーターが必要とする情報)、着色の指定方法、初期デザインからさらに個性を引き出すために何に着目してデザイン改修を行うのか等々、実際に「海之传说妈祖」製作する過程で用いられた実践的なデザイン手法について解説されているようです。
可愛い
また、この「海之传说妈祖」では主人公の妈祖が0歳の赤子時代、12歳の少女時代、28歳の成人時代、と時代によって登場人物達全ての風貌が年齢相応に様変わりするため、そのあたりの年齢相応のキャラクター変化のさせ方についても解説が入っていますね。
全体的にデザイン手法解説というよりは「海之传说妈祖」のデザイン画集といった感じで、ページの大半がデザイン画で占められています。もっと文字での解説ばかりなのかと想像していたのですが、私にとっては目で見て楽しめるのでこっちのほうが嬉しい。美猴王と水漫金山もこういうの出してくれないかなー。
あ、あとこの書籍のいたるところに「数字动画制作」と言葉があったので、てっきり「あぁ、数字动画という企業が作ってるのかぁ」なんて恥ずかしい勘違いをしていましたが、数字というのはdigitalのことで、つまりはデジタルアニメ制作という意味のようです。「海之传说妈祖」は初期のデジタルアニメとして様々な難題に取り組んで制作された、台湾デジタルアニメの草分け的な作品みたいですね。
シリーズ教本のなかにはデジタルアニメ製作の手法として、flashやToon Boomの扱い方などの解説編もあるようです。
あぁ、このエントリー書く前に気付いてよかった。
変な勘違いで赤っ恥をかくところでした。
とりあえず杨数鹏さんの今後の作品にも超期待です。
人物配件 |
(2013/3/2追記)
北京大学の学生紹介のページに杨数鹏さんが紹介されていました。
北京大学の学生紹介
08年度卒業ということは「美猴王」や「海之传说妈祖」は在学中に関わっていたということなのか。
おお!『海之传说 妈祖』のそんな本が出版されているのですか!
この作品は中国のデータベースで知り、その後に動画サイトで低画質の本編をチラ見してから、何としてでもソフトが欲しい!と探していたのですが、偶然にもeBayで出品されていたDVDを発見、入手して観ることができました。
怒濤のクライマックスによって迎える感動のラストに、ややあっけなさを感じるのが残念ですが、とても丁寧な作りでアニメ好きなら堪らない魅力的な力作だと思います。
>数字动画
今の目で見るとCGの技術に見劣りを感じさせますが、手描きとのハイブリッドによる意欲的な絵造りは成功していると思われます。
それにしても杨数鹏という方は、これまたお気に入りの長編『梁山伯与祝英台』や“品”を感じさせるキャラクターデザインが気になっていた『水漫金山」にも関わっていたとは驚きでした。
ご享受感謝いたします。
いつも気付いたことをとりとめもなく描いていますが、何かの参考にでもなれば幸いです。
私も動画サイトで見かけてDVD欲しいなぁと思っていたのですが、ちゃんと出てたんですね。また探してみます。
あ!読み返してみたら「ご教示」と書くつもりが「ご享受」になっていました。
失礼いたしました。
自分も早速、中国のアマゾンに「人物配件」を発注しました。
到着が楽しみです。