底知れぬ中国の新作アニメ映画「火焔山歴険記」が凄すぎる

今月公開予定の劇場版アニメ作品を眺めていたらとんでもない作品を見かけてしまいました。
新作中国アニメ「火焰山历险记」。見ての通り西遊記を題材とした作品ですが、これは実はとんでもない作品なのです。

火焰山历险记は江蘇省の呉都瀟湘影視が、三年の月日と1千万元を超える制作費を投じて制作した大型劇場版アニメ作品だそうで、西遊記を題材としながらも古典の原作を大胆にアレンジし、子供たちにも分かりやすく楽しめる作品を目指したとのことです。
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舞台は燃え盛る炎で三蔵一行の行く手を阻む火焔山。悟空たちは火焔山の炎を消すことが出来るほどの力を持つ鉄扇公主の宝貝(パオペイ)・芭蕉扇をめぐっての様々な戦いを繰り広げる、というお話のようです。
上記画像の赤髪のキャラクターは牛魔王と鉄扇公主の息子・赤孩児。

火焰山历险记の予告ムービー
上映開始日は7月19日らしい。


制作発表報道の映像

 

この「火焰山历险记」なのですが、中国ニュースサイトで報道記事を見かけて驚愕してしまいました。

だってこのアニメ作品、なぜか・・・
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私の目の前にDVDがありますよ?

これは2005年に公開された台湾の劇場版アニメ「紅孩兒決戰火焰山」で、ストーリーはもちろん火焔山で芭蕉扇をめぐって悟空と赤孩児たちが戦うといったものです。というかそのまんまです。見たまんまです。
一体これはどういうことなの・・・。
「紅孩兒決戰火焰山」は有名な作品なので、中国のアニメ関係者で知らない人はまずいないと思うのですが、なんでこんなに堂々と新作映画として報道されているんだ・・・。
以前からテレビアニメでは似たようなこと(既存のアニメを新作の中国国産アニメとして放送)がちょくちょくあるのは見かけたことがあるのですが、まぁここまで堂々とやっているということはもしかすると実は権利元とは話をつけているのかなぁとも思ったりもしますね。外国アニメとしてだと中国内での流通で色々制約がかかるようなので、表向きだけ新作の中国国産ってことにしてるのかな?それにしても8年前の作品なんだけど。
中国アニメ界はやはりまだまだ私の想像を遥かに越えた魔境のようですね。

後はまぁ、折角なので「紅孩兒決戰火焰山」について少し書いておきます。


「紅孩兒決戰火焰山」予告ムービー

 

大筋のストーリーは上で書いたとおりの内容です。
タイトルもパッケージも紅孩兒が大きく書かれていますが、実際に見てみると別に主人公が紅孩兒というわけでもなく、悟空と紅孩兒のどちらでも主人公ととれる作りになっています。

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紅孩兒は三蔵を殺そうと襲い掛かってくるのですが、それは理由があってのこと。
本当は家族思いで、優しく賢く可愛らしい男の子です。菩薩様もイチオシの良い子。
なんとなく極楽に行かされそうな配色とデザインなのは気のせいです。

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三蔵は英語で仏の教えを説き

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「HEY、欧巴桑(おばさん)」

悟空は日本語でメンチを切る

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アニメーションは滑らかに作られていて動きを見ているだけでも楽しいです。
特に悟空と紅孩兒のバトルのシーンは本当に気持ちいい。

しかし、この作品の本当の魅力は実はそんなところではありません
この作品の魅力はズバリ
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鉄扇公主萌えです
※萌えの定義には恐らく個人差があります

この作品での鉄扇公主は病に犯されており車椅子に乗って療養しているのですが、夫の牛魔王は飲んだくれのギャンブル好きで鉄扇公主を気遣いもしないという典型的なダメ男で、大変気苦労の多いお母さんです。
この鉄扇公主は表情の変化も良いのですが、話し方が特に好みなんですよね。優しく心地よい声です。
声をあてているのは台湾の有名女優の楊貴媚(ヤン・グイメイ)さんだそうです。

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普段は穏やかな上に病弱で弱々しい鉄扇公主が、息子の仇に対して見せるこの表情がまた堪りません。
ゾクゾクします。
正直DVDパッケージのイラストで侮っていたにもほどがあるのですが、これは楽しい作品でした。

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2 件のコメント

  • このニュースは自分も少し前に知ったのですが、何だかさっぱり理解できませんね。
    『紅孩児 決戦火焔山』のDVDは自分も手に入れて観たのですが、お気に入りの作品です。
    見晴らし良い山の上で悟空たちの帰りを待つ紅孩兒。その傍らでは沙悟浄にもらった風車が回り続けている…というラストシーンが、エンディング曲の『风景』と相まって忘れ難い余韻を残します。

    この作品について調べたことを下のスカポン太さんのブログに書き綴っています。
    http://ppgcom.blog12.fc2.com/blog-entry-5256.html
    制作のWang Filmのことや紅孩兒の性別などいろいろと興味深かったですね。

  • こっそり上映されてましたとかならアレですが、ここまで堂々と制作発表が行われているというのはやはり理解し難いものがあります。
    紅孩児は私もラストのところが好きなのですが、やはり私は凛々しく芭蕉扇を仰ぐあの姿にがグッときます。エンディング曲も素敵な歌ですね。
    紅孩児の性別が海外では女の子として扱われているのは面白いです。女の子だとあの事故チューの意味合いもまた変わってくるのかも(笑

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