北京電影学院の学生制作アニメ作品
「前进,达瓦里希(進め、同志よ)」。
キャラクターや女の子の話し方がとても可愛い作品なのですが、それだけではなく中国の人にとっては深く何かを考えさせられる作品のようです。
来自:weibo @王一王木木
▼「前进,达瓦里希」
这就是我的家,当然不是这些破烂的平房
友好高好高呢
ここが私の家、もちろんこんなボロ屋なんかじゃなくて
とってもとっても高いお家なの
第一层住的是弗拉基咪尔同志
我们都叫他老咪
一階に住んでいるのは、同志ウラジミール
私たちは彼を「ミーさん」と呼んでいる
再住上是时刻充满活力的费里克斯和他的伙伴们
その上の階には、いつも活力に満ち溢れているフェリックスとその仲間たち
第三层就留给贝利亚同志吧
哼,就是他
三階は同志ベリヤのためにとってある
ふん、これが彼だ
最最最上面 当然就是我
一番上のフロアにいるのは、もちろん私
(建设的伟大的成就)
(建設の偉大なる功績)
额…额,兹德拉斯维皆,达瓦里希
えぇ・・・、ズドラーストヴィチェ、タワリッシ(こんにちは、同志諸君)
去上课了啊
学校に行ってくるわ
啊,这是妈妈
是我们伟大社会主义的园丁
あ、これはママ
我々の偉大な社会主義の先生です
达斯维达尼亚
达瓦里希
ダスヴィダーニヤ(さようなら)
タワリッシ(同志よ)
妈妈说并不是所有的人,都理解支持我们的建设
但并不能否认他的伟大
我们的战士,神聖的信仰 永遠都不会磨灭
他照耀着我们每一个人
ママは言いました「全ての人が我々の建設を理解し支援するとは限らないが、
しかし我々の偉大な行動を決して否定することは出来ません。」
「我々の戦士と、神聖なる信仰は 永遠に朽ちることなく、
我々ひとりひとりを照らし出しているのです。」
贝利亚
抓到你了
ベリヤ
捕まえたぞ
贝利亚因为盗窃社会主义和人民的积木要受到处分
是他的同志都要引以为戒保护我们的优良传统。
ベリヤは社会主義と人民の積み木を盗んだ罪により罰を受けなければなりません
同志諸君も我々の優良なる伝統を守るように戒めなければならない
费里克斯
这是决战的最高指示
フェリックス
これは決戦のための最高指示です
你要时时刻刻军记
千万不能松懈
为了我们的胜利
どんな時でも、これを忘れないように
くれぐれも気を緩めてはいけません
我々の勝利のために!
啊,妈妈这么早下班
あ、ママどうしてこんなに早いの?
(収音機:无论出于何种理由)
(这都是一场由右派发起的 违反宪法的“反动政变”)
(我们认为紧急状态委员会是非法的权利集团)
(ラジオ:どんな理由があろうとも)
(これは右派によって引き起こされた憲法違反の“クーデター”だ)
(我々は国家非常事態委員会は非合法な権利集団であると認識している)
不知道为什么,大家都变得很不好
老咪
どうしてか分からないけど、みんな元気を無くしていった
ミーさん
费里克斯
フェリックス
两块七
才这么点钱
书不値钱
2ドル7セントだ
たったそれだけなの?
本は無価値なんだよ
妈妈说我们要终于要离开那些破烂的平房
搬到好高好高大楼上去
ママは言いました「とうとうこのボロ家を離れることになったわ」
「高い高い建物に引っ越すのよ」
贝利亚
ベリヤ
“专收家禽 王记骨头炖菜馆”
“鳥肉専門 王記のレストラン”
快点啊,磨磨蹭蹭
早くしなさい
妈妈
我们的大楼 会不会被美国炸掉?
ママ
私たちの建物、アメリカに爆破されちゃうの?
妈妈积木不会忘记带了吧
对了,给你买了新玩具,放床上了
搬新家就要有新玩具
你看人家小孩都爱玩这些
你积木那么脏小朋友来玩儿多丢人
ママ、積み木置いてきちゃったの?
そうよ、新しいおもちゃを買ってあげたわ、ベッドの上よ
新しい住まいには新しいおもちゃじゃないとね
よその子はみんなこんなおもちゃで遊ぶの
あんな汚い積み木をお友達に見られたら恥ずかしいでしょ
不知道为什么
我突然想起了费里克斯
どうしてだろう
突然フェリックスのことが思い浮かんだ
这是决战的最高指示
你要时时刻刻军记
千万不能松懈
これは決戦のための最高指示です
どんな時でも、これを忘れないように
くれぐれも気を緩めてはいけません
都是高科技的,都是美国运过来的,对皮肤特别好
你看是这种就像蚕丝一样,一看这里写着silk silk就是蚕丝的意思
它里面添加了蚕丝。这个洗发水和洗发膏是完全不一样的
どれも最新技術によるものなの アメリカ産で、肌にとってもいいのよ
ほら、これシルクみたいでしょ、silkと書いてあるところを見て silkはシルクという意味
この中にはシルクが含まれてるの。このシャンプーは髪洗い粉とは全く別物なのよ
我要告诉你们
妈妈已经背叛了我们
他们都背叛了我们
私はあなたたちに伝えなければなりません
ママはすでに我々を裏切りました
彼らもみな我々を裏切りました
(亲爱的同胞们)(朋友们)
(作为最近建立独立国家联合体这一局面的结果)
(我宣布辞去我作为苏维埃社会主義共和国联盟总統的职务)
(親愛なる同胞たち)(友人たちよ)
(設立された独立国家連合体は、このような新たな局面を迎えた結果として)
(私はソビエト連邦大統領としての活動を終えることを宣言する)
“前进 达瓦里希”
“進め、同志よ”
【終】
キャラクターと女の子の声がとても可愛いです。
声を当てているのは韩洛妃という7歳の女の子らしい。
「フェリックス」や「ベリヤ」と名前を呼ぶ時の声が特に可愛いなぁもう。
最初は少し反米(反資本主義)要素のある作品で、直接的な表現を避けるために中国と立場が似ているソビエトを舞台に置き換えているのかなぁとか変に勘ぐってしまいましたが、よくよく見てみるとそうでは無いみたい。他国の思想を批判するのではなく、どちらかというと純粋に自国と自国の仲間を愛する少女の愛国心を描いた作品のようです。
あとこれは私が中国語表現に鈍感な日本人だからなのでしょうが、初めてこの作品を見たときは普通にソビエトで生活しているロシア人少女のお話なのかと思ってしまっていました。だからキリル文字と漢字の小物が混在していることや、魚釣りゲーム(ガブッチョ、中国では流行ったようですがソビエトには無かったのでは?)が出てきていても、「あまり細かいところまで気にせず、作者の子供時代にあった小物を描いてるだけなんだろうなぁ」と気にとめていなかったのですが・・・。
一通りこの作品を観たあとで、いやいやこの作者の人がそんないい加減な作品作りをするわけないなと考えを改めました。
このシーンではノートを確認してからたどたどしくロシア語を話しています。
壁には中国らしい絵の掛け軸と、ベッドの下には漢字が書かれたダンボール。
このノートはよく見るとキリル文字と漢字が並んでいるように見えます。
つまりこれはロシア語の学習ノートで、主役の女の子は中国からソビエトにやってきた中国人移民?ということなのではないでしょうか。歴史に疎い私にはそういう境遇の中国人がいたのかどうか分かりませんが・・・。
作中に登場する積み木はもしかすると社会主義の理想の象徴なのかもしれませんね。
現実はボロボロの平屋だけれども、理想は高く高く積み上げられた高層ビル。
社会主義の理想の積み木を高く積み上げることを目標として精一杯積み上げていくけれど、
その積み木は脆く一瞬で崩れ落ちてしまう。
来自:weibo @王一王木木
崩れ落ちた積み木の上で、依然として社会主義の象徴である赤旗を高々と掲げ続ける少女。
このポスターの積み木にもそういった意味が込められているのかもしれません。
この作品は中国人にとっても観る人によって受け止めかたが様々なようで、みんなが一つの目標に向かって精一杯生きていた古き良き時代を懐かしむ人や、社会主義の詐欺に騙された可哀想な少女の話だと嘆く人、共感して愛国を訴える人、やはり反米・反資本主義を訴える人もいるようです。
いずれにせよ学生制作のアニメ作品としては異例な反響の大きさです。
ネコはウラジーミル・イリイチ・レーニン、
フェリックスという鶏はフェリックス・ジェルジンスキー、
鴨はラヴレンチー・パーヴロヴィチ・ベリヤ、
だと思います。
いろいろな事件入り込んだね、
泣きました。
ありがとうございます。
そういった方面の知識が全く無いので気付きませんでしたが、いずれもソ連の有力な指導者の名前だったのですね。そうであれば冒頭の積み木も、年代順に下から徐々に積み上げられているというのがよく分かりますね。
あとwikiを読んで驚きましたが、ベリヤはかなりの悪人とされているようですね。作品中で「社会の害虫」として戒められているのもそういったところからきているのでしょうか。
丁寧に作られた作品だと感じます。
「時代の涙」的な作品ですね。
主人公の女の子はたぶんロシアに近い、中国の東北地方の人だと思います。
昔の中国で一番人気の外国語はロシア語です。うちの両親(上海人)も昔、ロシア語ペラペラって、たとえ後中国とソ連の仲が悪くなっても、ロシア文化大好きです。主人公もそうだと思います。ただあまりにも小さいから、彼女にはソ連崩壊が衝撃的すぎるだろう。世界感も崩れて。。。
最後の戦争場面は大祖国戦争かな、いくつの絵と似てる写真を見たことある気がします。
女の子の母親はロシア語の先生だと思いますね
年代としては1991年の話ではないでしょうか?
途中のラジオの声で《国家非常委員会》というのは、1991年8月のクーデター未遂事件。ソ連の崩壊を決定させたと言われ。
北海道の自衛隊では、このニュースの後、ランニングで遅れると「ダラダラやってるうちに戦争が終わったらどうする気だ」と怒鳴り声が上がりました。(私が見た実話です)
ラストのソ連大統領は最初で最後の(つまり只一人の)ゴルバチョフです。
改めて見直すと、女の子もフェリックス達も上着がルパシカに見えます。服の前が途中まで開くもので、伝統的なロシアの衣服のことですが。
大祖国戦争(ロシアの第2次大戦)あたりまでソ連の軍服に使われましたから。(北朝鮮で現在もなのか、少し前の韓国映画で北朝鮮軍人が着ていました)この姿なのでしょう。
中国人の子にとっては、ソ連軍は「悪い日本軍の占領していた植民地」東北地方開放の英雄たちだったのかも知れないのでショックだったんですな。(うちのばあちゃんには、満州で静かに暮らしていたのを。夫をシベリアに連行されるは、幼い我が子2人連れて、追われたと聞いています)
ベリヤはスターリンの下でNKVD(つまりKGB、フェリックスのなのモデルが創設者です)のボス。どういう人かは《靴擦れ戦線 ワーシェンカの戦争》というマンガで出てくるので、これでわかるでしょう。
説明が足りませんでした。
ルパシカに見えるというのは、ラストので。他のシーンは冬なのでコートを着ています。
1991年12月のソ連崩壊は、日本や欧米とか敵対していた(あるいは驚異を感じていた)国には喜ばれましたが。確かに共産圏の側にとってはとんでもないことだったのですね。映画の「グッバイ!レーニン」で、東ドイツがなくなってしまうのを見せていましたが、女の子にとっては人生を否定される恐怖だったのかな。
お母さんが中国語しか話さない(ほかの人も)ロシア語は女の子だけ、やはり、この子は中国の子です。(中国人移民のコミュニティというなら話は変わりますが)
今の三十代前半より前の、そう若者だと実感がないでしょうが。世界が二分され、全面戦争になれば米ソが核兵器を使い、人類全てが全滅する(正式な名は忘れましたが、略称はMAD。文字通りの狂気でした)その時代なのですが。
幼い子には何も知らず、理想だけを信じていたのでしょう。この子の首に巻かれたスカーフはピオネール(中国なら少年先鋒隊でボーイスカウトに似ています)で、かなり優等生だったのですから。
ソ連軍は、歴史の彼方に去り。今年公開の映画レッドドーンでは(元になった映画でのソ連ではなく)北朝鮮を相手です。
今の日本では強いソ連軍はyoutubeで「command&conquer red alert」で見られるくらいです。
ちゃに丸さんが、この作品を見つけたことに感謝します。
色々と情報をありがとうございます。
歴史には本当に疎い人間なので、知らないことばかりで大変勉強になります。
この作品を見てソ連と中国の関係に少し興味が出てきたので、また時間があるときに調べてみたいと思います。
ちゃに丸さんのせいでは無いです
学校で近代史と現代史って、(特に日教組に所属している先生だと、なかなか)教えたがりません。終戦時のソ連のから、あの映画『ゴジラ』の「皆さん、さようなら、さようなら」というセリフが生まれました(樺太の女性の自決前のを引用です)
日本だけでなく、ロシアでも (ロシア帝国の頃から北方領土や樺太が自国領だったとなっていて)ソ連時代の事、特にロシア側に不利な事実を教えていないです。
中国は現在もロシアから戦闘機を輸入したり、(ナチスのない世界での第2次大戦という、事実上の米ソ戦争の)米ゲーム「command&conquer red alert」を禁止したそうなので、ソ連との関係は面白いものがあります。
まぁ私の場合は社会の時間はいつも睡眠時間だったので・・・
学校の社会科の授業では、睡魔との戦いですから、ここで、楽しく調べる方法があります。まず今持っている小説やdvdでいいですから、年代を見ると差があるはずです。
いま(舞台が現代か近未来の)映画に出てくる敵を見るとテロ組織やカルト教団や悪徳企業や麻薬カルテルが多いはずです(現実に合わせているなら)基本的に公然と悪事ができるわけではないはずです
ソ連があった頃のは共産圏のスパイ相手か二大勢力の激突というのが多かったのです。(いま新作が放送している宇宙戦艦ヤマトは地球とガミラスとの戦いのはずですし、マクロス・フロンティアのは元になったマクロスがゼントラーディとメルトランディでした)DVDが出ているアニメとなると銀河英雄伝説ですか、自由惑星同盟と銀河帝国だったかと。
現代のアメリカのゲームで同じ会社のでみると(米erectric arts社のが見つかったので)シリーズ物なので1作目だけ見ましょう。
「command&conquer」
宇宙から降ってきた有害(でも地中の鉱物を吸い上げるから、回収して資金にできる)物質で汚染された地球
米軍中心の多国籍軍GDIと世界を統一しようという集団NODの全面戦争
「command&conquer red alert」
ナチスドイツのない20世紀
ここでのは過去の時代なので米軍中心の連合軍とソ連軍の全面戦争
「command&conquer general 」
現実と基本は同じ世界、近未来
アメリカ軍とGLA=イスラムテロ組織の他、中国軍が登場しているそうです
ここまでゲームでも変わっているんですね
これを見てから、ロシア語に興味が出てきたんですが。この話の女の子と同じくらいたどたどしいままです。
中国の赤いスカーフのルーツはソ連のピオネールですが
共産圏のボーイスカウト?と言っていいようです
ボーイスカウトがイギリス陸軍の退役中将が始めたせいなのか?そのままのボーイスカウトでなく、共産圏に合わせたんです
赤いスカーフ(ネッカチーフ)は「女王陛下に敬礼」でもしていて、共産圏の青少年団の名物(でも、今やっている国は少ない)
ボーイスカウト自体は青少年への社会への適応とか集団行動を身に着けるのに有効らしく。ソ連でピオネールに、ナチスでもヒトラー・ユーゲントにと類似する団体があったり。
アメリカの学校で、映画やドラマに出てくるのが、全寮制の学校で。ミリタリースクール(タップス、コンバットアカデミー)がボーイスカウトみたい?X-MENのエグゼビア学校だと普通の学校と変わらない(生徒も教師もミュータントですが)