真っ赤な白ウサギが黒すぎる危ない軍事アニメ 「那年那兔那些事儿」 【国家擬獣化】

赤くて白くて黒いウサギが大人気の中国軍事WEBコミック「那年那兔那些事儿(その時、そのウサギ、その出来事)」。
以前から噂されていた問題作のアニメ化作品が遂に公開されました。

▼「那年那兔那些事儿」 第一話

 

 

▼とりあえずこの作品で主に登場する動物(国家)たち
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来自:http://acg.178.com/201502/218187272024.html
中国(共産党)代表の兔子(tùzi/トゥーズ)
一見人畜無害の可愛らしい白ウサギですが、その思想は真っ赤に染まった腹黒い危険なウサギ。
志は高いけど逃げ足が速い小心者。お金が大好き。
なぜ中国(共産党)を代表する動物がウサギなのかということは後述で。

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台湾(国民党)代表の秃子(tūzi/トゥーズ)
兔子と発音がほぼ同じのハゲ頭。兔子が大嫌い。
たぶんヒゲがあるほうが孫文で、ないほうが蒋介石なのでしょう・・・。酷いなおい

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ソビエト連邦代表の毛熊(máo xióng/マオション)
冷徹で勇猛な熊だけど無能という設定らしい。酷い

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アメリカ代表の白头鹰(báitóu yīng/バイトウイン)=ハクトウワシ
圧倒的な武力と金を持つワガママなワシ。
自分こそが正義と自称しつつ、ちょくちょく犯罪を犯すといった感じのキャラらしい。うーむ

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日本代表の脚盆鸡(jiǎopén jī/ジャオパンジー)
鶴を自称するコソ泥の鶏(ヒヨコ)という設定。
強い者に付き従う。強情で頑固者。
流石日本は酷い扱いだな!と思われるでしょうが・・・
↓↓

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北朝鮮代表の北棒(běi bàng/ベイバン)、韓国代表の南棒(nán bàng/ナンバン)
朝鮮はもはや動物ですらありません。棒です
過敏な性格で表向きは威勢がいいけど実際は軟弱という設定。たぶん一番扱いが酷い
どうもこのキャラは中国人が朝鮮を揶揄する「高麗棒子」という蔑称からきているようですね。
(満州国警察として虎の威を借りるように警棒で中国人を弾圧していたためらしい)
たまに中国ネットで棒子国という名前を見かけていたのですが、このキャラで初めて意味を知りました。いやはや

▼そんな危ない「那年那兔那些事儿」のアニメ版第一話
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私は学生時代に歴史の勉強を完全放棄していたような人なので歴史関係には大変疎いのですが、どうもこの第一話は下関条約締結辺りから中華人民共和国成立までの流れをざっくり中国視点で描いているようです。
ちなみに真ん中のキャラは満州のようですが、中国では満州を国と認めていなかったので今でも偽満州国と呼んでいるようです。
こういう中国視点での考え方を知ることが出来るというのは日本人にとってもなかなか面白いかもしれません。

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共産党と国民党がアメリカの支援を受けて共闘していたなんて、ぶっちゃけ初めて知りましたよ(笑
中国でも「共産党はほとんど戦ってないだろ!」なんて突っ込みも見かけますが・・・

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脚盆鸡は当然悪役なのですが、喋ると意外と可愛いぞと思っていたらなんと声は中国の人気声優・山新!
もはやどういう扱いなのか良くわからなくなってきます。

▼原作漫画はいつもの有妖气で読むことが出来ます
有妖气 那年那兔那些事儿
漫画はネット上では億単位のページビューを誇る爆裂的な人気作のようです。
このアニメ版もかなり話題になっているので、それじゃあ評価も高いのかなと思いきや・・・

▼中国サイトの「那年那兔那些事儿」レビュー
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割と評価は真っ二つに分かれているようですね。
どうも考証もいい加減で共産党賛美な内容であることと、悲惨な戦争を面白おかしく茶化すような描き方や、盲目的な那年那兔那些事儿ファン(行き過ぎた愛国主義、民族主義)に辟易している人も多いようで、この作品のファンを揶揄する「兔杂」なんて言葉が生まれるほどのようです。
まぁそんなアンチが生まれるほどに純粋な愛国主義者に好まれる「那年那兔那些事儿」なのですが、どうも初めて見る人が大概疑問に思う点があるようです。

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なぜ中国を代表する動物がウサギなのか?
「中国を代表する動物といったら龍かパンダだろ!」といった疑問が当然のように出てくるようですが、ウサギが中国(共産党)を表すことになった経緯は諸説あるようで、
・外交的に人民が穏やかで人畜無害であることをアピールするから
・共産党員がよく使う「同志(トンジー)」が訛って「兔子(トゥーズ)」になった
・ウサギの天敵が鷲(アメリカ)だから

なんて説明も見かけますが、ネット上で最も広く認識されている語源はどうも「土共(tǔ gòng/トゥーゴン)」のようです。
※土共の意味についてはこちら→ オレ的中国の実態 Twitter × 中国:基本情報と専門用語

つまり、土共→頭文字を取ったTG兔子(トゥーズ)、といった流れで生まれたらしい。
ちなみに中国のネット住民によると、ここで言う土共はあくまで土星共同体の略であり、つまりはSaturn Communityであって決して共産党を揶揄する言葉などであるはずは無いのであしからず!とのことです。

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来自:http://www.u17.com/
まぁそう言われてみればコミック版での兔子は決して純粋に賛美されるような内容でもなく、腹黒く悪事を働いたり愚かだったりといったことも描かれているんですよね。
中国では語られないとよく言われている対中ODAなんかにも意外と触れられています。(解釈は読者次第)
萌娘百科 那年那兔那些事
あと、萌娘百科によると兔子のフルネームは「铁齿钢牙嘴甜腹黑耳朵尖心眼小,心比天高最爱小钱钱的小小小白兔是也(鉄の歯と鋼の牙を持ち、口ではいいことを言うが腹は黒く、耳は尖っているが度量は狭い、心は天より高いが何よりお金が大好きな、ちっちゃちっちゃな白ウサギ)」だそうです。
まぁそんなわけで賛美かというと微妙なところで、共産党自体に対してもややアレな感じの作品なのかもしれません。
まぁ昨今のネット社会においては、自分の心地よい情報だけを取捨選択してしまうため思想が一方的に偏りやすいとも言われますし、もしかするとこれは愛国心溢れる若者がふと立ち止まって何かに気付けるような仕組みになっている高度な作品なのかと一瞬考えたりもしますが、どう考えても考えすぎです。本当にありがとうございました。
どちらにしてもかなりキワドイ内容の作品であることには間違いないので、どうもこの作品のアニメ化に関しては中国政府関係者の監督下に置かれているようです。

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中国アニメで制作委員会制度が敷かれているというのも驚きですが、この「翼下之风动漫」という制作会社の代表が「周小平」という政府寄りの人物で五毛党と呼ばれているらしい。(日本での情報はほとんどありませんが、中国では有名人だそうです)

▼この動画の中央に座ってる人が周小平さん

左側に座ってるのが原作者の「逆行飞行」さんです。

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まぁ山新の「なにー?」が可愛いので細かいことはどうでもいいかもしれません。
とりあえず隔週で全12話配信予定らしいので、とりあえず見てみよう。
(残念ながら原作どおりなら脚盆鸡の出番はこれ以降はあまり無いですが・・・)

 

 

(おまけ)

「那年那兔那些事儿」関連の兵器擬人化イラストなど。
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来自:http://seiga.nicovideo.jp/user/illust/11451035
機械の機(jī/ジー)と、中国語では女性を意味する姫(jī/ジー)が同じ発音であることから、那兔では兵器(特に戦闘機)が女の子として描かれています。

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35 件のコメント

  • TOHO日本橋でやるアニメアワードTAAFで中国アニメ4作品がオムニバスで上映されるそうですよ。http://animefestival.jp/screen/list/time/20150322/
    見に行こうか迷ってるんですけどご存じのタイトルがあったら中国での評判どんなもんか教えていただけるとありがたいです。

  • 豆瓣のレビューについてはあまり気にしないほうがいいと思うですよ。そっちの人は政治大嫌いで、政治に関わりがあるものはほとんどひどい評価になってる。アメリカやイギリスのドキュメンタリーも同じ目に遭ってる。
    若者に大人気ということは確かです。作者も日本のアニメやマンガが好きで、時々日本マンガのネタが出てきます。なので日本のイメージは悪党だが、ひどい扱いは少ないと思うですね。
    共産党が「兔子」になってるのは、「小白兔的光荣往事」っていう文章が始まりです。作者がマンガを描き始めた頃も言ってましたけど、知ってる人は多くないようですね…

  • そういやソビエト連邦の設定はちょっとアホっぽくて、無能はちょっと言い過ぎです 笑
    アニメ化されるかどうかは分からないけど、原作では一番涙線崩壊の部分はソビエト連邦が死んでいく時です。なんだかんだ言って、やはり兄貴扱いです。
    「白樺林の約束」っていう、youtubeでその部分の原作が見られます。

    アメリカのイメージも時にいろいろ教えてくれる先生で、時に悪人です。棒たち以外は徹底的に扱いがひどい国はいないかな…たぶん。

  • 日本のエンタメ好きが作った作品で半島台湾やらなんやら絡む
    南北朝鮮の扱いが人種差別レベル
    日本含む東アジアのネット空間で声デカい層の闇そのものじゃねーかwww
    99式戦車、Y-20、J-20は評価する

  • >TOHO日本橋でやるアニメアワードTAAFで中国アニメ4作品がオムニバスで上映されるそうですよ。
    おぉ、中国アニメも上映されるんですね。
    上映される作品はいずれもBlueArcという中国の3DCGアニメスタジオの作品のようですね。BlueArcは中国のテレビアニメではトップレベルの技術がある有名スタジオです。
    果宝特攻シリーズは子供向けのアニメとしては中国で非常に高い人気がある作品ですが、私もちゃんと見たことは無いので詳しくは分かりません。
    以前にブログで少し触れた作品もあります
    http://chinanime.blog.fc2.com/blog-entry-402.html
    http://chinanime.blog.fc2.com/blog-entry-637.html
    概ね中国での評価は高いです

  • >チャイナさん
    >なので日本のイメージは悪党だが、ひどい扱いは少ないと思うですね。
    そうなんですよね。意外とソフトな感じだなぁと思いました
    >無能はちょっと言い過ぎです
    無能は言いすぎかなぁと思いつつ、キャラ紹介にそんな言葉が書かれていたのでそのままにしました。やはり言いすぎですか(笑
    そしてやっぱり棒は酷い・・・

  • あれ?平均身長は中国のほうが高かったような気が・・・
    中国版のヘタリアみたいな作品なんですかね
    ヘタリア見たことないんですが

  • 土 星 共 同 体 wwwwwww
    昔、日本の落語家だか漫才師だかが「天王星人が地球に攻めてくる」というネタを作って、「天王星の支配には屈しないぞ!」とかやってたら右翼から抗議が来たという話を思い出しました。
    ヘタリアというか、のらくろですよね要するに。豚勝将軍のひどさに比べたら脚盆鶏なんて全然へーきへーき。
    山新が「ヨーシ!」「オマエラ!」「スラスラデ!」と一昔前の抗日ドラマでおなじみの日本語(もどき)を連発してくれてる時点でもう面白くてたまりません。「スラスラデ」なんて最近の抗日ドラマではあんまり聞かなくなった気がするので、お約束の面白セリフという扱いなのかなあ。
    「殺急急!」も「シャゲキ!」に聞こえるなあ。

  • >「スラスラデ!」と一昔前の抗日ドラマでおなじみの日本語(もどき)を
    スラスラデ!って何のことかと思っていたら、中国的な似非日本人のお決まり台詞だったんですね。
    日本の中国キャラが「~アル」と話すのと同じようなイメージなのかな。
    面白いですね

  • >兵隊中国語
    なるほど、日本兵が実際に使っていた言葉からきている由緒正しい(?)言葉だったんですね

  • スラスラデ!まあ二次戦のとき にせ満州国には と日本かたを通行したっかたの 中日混合語の 一つ 特色だ。まあうちはたしか漢人ですけど

  • >ちゃに丸さん
    良く理解しましたね。中国語お上手です。
    脚盆鸡次の出番は日中復交の時だと想います。

  • 中国人です。この漫画はあまり好きでないですが、皆さんの客観的な討論を見て感心し喜びました。やはりこんな相互理解の討論が多くなってほしいですね。
    良いことの討論か悪いことの討論かというのには関わらず、討論したほど相互理解できるのです。相互理解したほど喧嘩する可能性が低くなります。

  • イラストで同じ方かわからないのですが、アントノフ輸送機とかを(旧ソ連のだからか)マッチョな白人男や金髪の少女で描くのは微笑ましいです。
    中国海軍がPLAN、PLは人民解放なんですが。ANがARMY NAVY直訳すると陸軍海軍。

  • 日本の漫画・アニメで動物でとなるとCAT SHIT ONE
    米 ウサギ USA GI
    日 サル
    ベトナム ネコ
    中 パンダ
    ソ連 熊
    韓国が犬
    仏 豚
    独 キツネ
    ロシア人が熊なのは同じですが。

  • かわいいキャラクターで史実の残酷さをユーモラスに見せる。
    しかし、ヒゲ(孫文?)が清朝の後のリーダーになったのですが、中華民国です。白うさぎ(共産党)を側近(?)にはしませんでした(そもそも、建国してすぐに、本人が早死してる)
    日本しか大陸にいなかったわけでなく、当時の列強は清朝の混乱を利用して侵略していました。だから、1997年まで香港をイギリスが治めていたんです。
    ヒヨコ対ハゲとウサギは国共合作がイメージでしょうけど。白頭鷲(アメリカ)の救援先はハゲ(蒋介石の中華民国)です。けっこう危ない事も(正規軍人を表向き除隊したことにして、派遣したり)やっていました。
    ジョン・ウェインの映画にフライングタイガースというのが、有りますが。この頃の派遣された戦闘機隊のことです。

  • 今の中国を討論するのに『コミック琵琶湖要塞1997』を読むと、原作の『琵琶湖要塞1997』を読むのが(20年も前の小説ですが)良いかもしれません。
    「物凄い大国意識がある」「一つの政権が10億人と広大な土地をまとめるには限界がある」「近代化するには変わらなくてはいけない」と、現在でも通用するでしょう。
    何より{栄光モデル}です、これは国家なり民族なりの『成功した』歴史により、こういうふうになりたい姿なのですが。フランスはナポレオンの大仏帝国、ロシア(スミノフ)はロマノフ王朝の露帝国とかなのですが、さて中国についてはありませんです。
    おそらくは元朝=モンゴル帝国?漢民族のではないし

  • 原作者のバランス感覚はかなりのものです、中国人にブラックユーモアとして出せる程度でいます。
    台湾の戦後で[犬(日本人)がいなくなって、豚(国民党の漢人)が来た]と言われていますが。でも、中国を豚として出せないでしょう?国境内戦が豚どうしの争いになる
    ギャグマンガに月や火星に人間が住む時代になったら、そこには大勢の中国人がいるだろうという4コマがあったな

  • なんだかんだ今までみた国産アニメで兔子が一番好き
    感動的で泣ける所も多いし、良い作品だわ
    清朝の没落と崩壊、地に墜ちた中華の苦闘、そして再興への模索
    近代と現代も壮大なドラマがあって魅力的
    特に朝鮮戦争とか熊ニキとのお別れシーンほんと泣ける

  • ふざけたギャグに見せて、清朝の弁髪を切って新政府を宣言したりしているし。鷲が「ドイツで手が離せない」というのも、主力を欧州向けにしていたから。
    ヒヨコがゼロ戦を呼ぶシーンはなるほどと思った、実際に大陸で米の派遣したフライングタイガース相手に実戦を始めてる。
    中国の完全国産の軍備は、21世紀に入ってからに近い。国共内戦に朝鮮戦争、ソ連との対立、文革etcと在ったせいだけど。広い大陸の軍備だと、最新のを全員に渡しているうちに旧型になってしまうのでしょう(最新装備を一気に揃えるなんて米軍でも大変です)
    日本では幕末から、米に占領されても再開して国産軍備の苦労をしている。日本の場合は英とかキューバみたいに相手が自国(島国)へと来るので少し古くても何とか出来ると踏んでいるのか?
    那年那兔那些事で検索をかけると、通販で兔子のパッチが売られて

  • 中國人が出版したマンガをたまたま見つけて、読んでみました。日本の萌えキャラ日本鬼子(ひのもとおにこ)と小日本(こにほん)とか日本にも詳しい日本在住の人です。このマンガで那年那兔那些事と兔子の影響の大きさも出ています。
    朝鮮半島の本で自分を虎と思っている狐が半島の人間だと。
    ネットのアンケートだと中国人は虎。
    中朝韓は、かつてナチスドイツと組んでいたからと日本を悪く言う(あの時代の世界に他に味方がいなかったのに)日本が払った犠牲が大きかった(300万人の戦死や核攻撃2回、シベリアで少なくとも50万人が死んでる)のかわかる。
     でも幕末に日本が滅んだら、今の中国人は男は弁髪のまま。ネット環境は白人様オンリーで、90%以上の中国人は清国のまま、太平洋戦争末期になっても統一政府がなく、リアル北斗の拳状態だった中国だから今でもインド産のアヘン吸ってる。

  • 今の中国の繁栄に中国人がどう思っているのか?今の中国のに限らず世界の経済や情報のネットで何とかやっているのですが。

  • >日本代表の脚盆鸡(jiǎopén jī/ジャオパンジー)
    >鶴を自称するコソ泥の鶏(ヒヨコ)という設定。
    チキンですか

  • ツルは、アメリカに軍を廃されたため、アメリカの舎弟となって戦闘力が高くないニワトリを使う

  • 韓国と北朝鮮だけ高麗棒子の棒にしてたり扱いが殊更酷かったりするの中国っぽくて好きです
    なんかニホンちゃんのカンコ君と似た様な扱いですね
    中国版ニホンちゃんって感じがします

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